大会担当理事よりのお知らせ

第44回英米文化学会大会要項

・目次
大会日時・開催方法
大会プログラム
抄録

英米文化学会

第44回大会
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日時:2026年9月5日(土)

会場及び開催方法:日本大学(通信教育部1号館)
(〒102-8005 東京都千代田区九段南4-8-28)
& Zoom*

大会当日、発熱、咳、喉の痛みなど体調不良のある方はZOOMからご参加ください。



* ... 日本大学を会場として使用し、同時にオンライン(Zoom)によるハイフレックス開催となります。

ハイフレックスによるオンライン開催(Zoom利用)及び配布資料(ハンドアウト)に関しては こちら

今回の大会では、会場以外での紙媒体のハンドアウトの配布はありません。ハンドアウトは各自、ダウンロードしてください。

今大会で配布される発表資料を目的以外に使用することは禁止します。
また、 それらを不特定多数の他人とインターネットやSNSにて共有することは著作権法 によって禁止されています。

懇親会の参加希望は8月22日(土)までにフォームにてお申し込みください。


9月5日(土)
受付開始 <10:00>
開会の辞 <10:20 − 10:30> 英米文化学会会長 田嶋 倫雄 (日本大学)

研究発表
1. 『ハード・キャッシュ』における「事実に基づいたロマンス」
―精神病院制度をめぐる社会的不安と文学表象―
<10:30−11:00>
発表者 閑田 朋子(早稲田大学)
司会者 水野 隆之(早稲田大学)

2. 越境する武士道
―西部劇映画『レッド・サン』における文化混淆とグローバル中世主義―
<11:00−11:30>
発表者 長谷川 千春(至学館大学)
司会者 大勝 裕史(千葉商科大学)

小休憩 <11:30−11:45>

3. 行方不明の真相は?
―イーディス・ウォートンの「ざくろの実」論考―
<11:45−12:15>
発表者 西垣 有夏(関西看護医療大学)
司会者 河内 裕二(尚美学園大学)

昼食休憩 <12:15−13:45>

4. 初級学習者対象の制限作文と日本語設計図を用いたパラグラフ・ライティング指導研究
及びライティング教材の研究
<13:45−14:15>
発表者 樋口 晶子(四日市大学)
司会者 石川 英司(城西大学)

5. ワカコ・ヤマウチの戯曲におけるトラウマ体験の「証言」と「共有」
―『そして心は踊る』と『12-1-A』を中心に―
<14:15−14:45>
発表者 古木 圭子(奈良大学)
司会者 藤岡 阿由未(椙山女学園大学)

小休憩 <14:45−15:00>

6. 近世英国の書物の文化と読者―合綴本は何を語るか―
<15:00−15:30>
発表者 高野 美千代(山梨県立大学)
司会者 曽村 充利(法政大学)

休憩 <15:30−16:00>

基調講演 <16:00−17:30>
アメリカ小説と青春


講演者 都甲 幸治(早稲田大学教授)
司会者 君塚 淳一(茨城大学)


閉会の辞 <17:30−17:40> 英米文化学会理事長 佐野 潤一郎(環太平洋大学)

懇親会 <18:00−20:00> To the Herbs 市ヶ谷店
(〒102-0073 東京都千代田区九段北4-2-13 / 懇親会費 2000円)








英米文化学会第44回大会抄録



研究発表・基調講演

『ハード・キャッシュ』における「事実に基づいたロマンス」
―精神病院制度をめぐる社会的不安と文学表象―


閑田 朋子(早稲田大学)

 十九世紀英国では精神病院制度が急速に拡大する一方、不当監禁をめぐる問題が社会的関心を集めていた。チャールズ・リード(Charles Reade, 1814-1884)は社会派小説であると同時にセンセーション・ノヴェルの性格も併せ持つ『ハード・キャッシュ』(Hard Cash, 1863)において、精神病院の実態と精神衛生法の欠陥を描くと同時に、不当監禁や脱出劇といった劇的要素を取り入れ、リード自身の言葉を用いれば「事実に基づいたロマンス (a matter-of-fact Romance)」という方法を採用した。本発表では、この概念に注目し、同時代の新聞報道や『デイリー・ニュース』(Daily News)紙に寄せられた読者の手紙などを参照しつつ、精神病院をめぐる社会的不安がいかに構成・提示されているかを検討する。あわせて、同時代に指摘される誇張や偏見の問題にも留意しつつ、「事実」とロマンスの関係を再考する。




越境する武士道
―西部劇映画『レッド・サン』における文化混淆とグローバル中世主義―


長谷川 千春(至学館大学)

 テレンス・ヤング(Terence Young, 1915-1994)監督『レッド・サン』(Red Sun, 1971)を事例に、西部劇における武士道表象が文化混淆を通じて再構築され、Global Medievalism(グローバル中世主義)の枠組みでどのように機能するかを論じる。本作は侍を登場させ、銃撃戦と刀剣戦が併存する物語を描くことで、西部劇と日本の時代劇的価値観を交錯させていることがしばしば指摘されている。しかしながら、過去の文化や歴史を現代的視点から再解釈し、文化圏を越えて再創造される過程を扱うグローバル中世主義の視点からは、十分に検討されていない。そこで本発表では、特に作中で4回用いられる語 ‘bushido’ に注目し、その語が観客に共有された文化的意味を前提として用いられる記号として機能している点を検討する。これにより、西洋映画における武士道表象が文化交錯の中で再創出され、グローバル映画市場において過去の価値体系を再生産する文化的装置として機能している現象を考察する。




行方不明の真相は?
―イーディス・ウォートンの「ざくろの実」論考―


西垣 有夏(関西看護医療大学)

 「ざくろの実」(‘Pomegranate Seed’ 1931)は、ニューヨークに住むアシュビー家に届く差出人不明で夫ケネス宛ての灰色の封書をめぐって妻シャーロットとケネスのやり取りを中心に物語は進行する。夫婦二人で旅行に出発する前日に、ケネスが仕事に行ったきり完全に連絡が途絶え、心配するシャーロットとケネスの母親が警察に電話するという場面で幕切れとなり、ケネスは行方不明ということしか読者にはわからない。行方不明の伏線となる描写はなくあまりにも唐突な結末となっているが、この筋書きは作者ウォートンの意図的な計算によるものだ。本発表においては、産業化都市化の進むアメリカという時代背景を踏まえ、妻シャーロットの差出人不明の封書に対する執着、その封書のことを決して語らない夫ケネスの頑なさ、そして他界したケネスの前妻エルシーの存在感を分析し、ケネスの行方不明の真相について考察する。




初級学習者対象の制限作文と日本語設計図を用いたパラグラフ・ライティング指導研究
及びライティング教材の研究


樋口 晶子(四日市大学)

 自分の意見をまとまった分量の英語で書くことは、初級学習者には大変難しい。理由として、パラグラフ構成やテーマなど何をどう書けばいいのかわからず失敗した経験から、自分はどうせ書けないと無力感や不安感を感じる学習者も多い。書くことに対して気持ちが楽になり、少しずつ多く書けるようになる学習方法が必要である。
 本研究では、2022年度から合計119人の初級レベルの日本人大学生を対象に、独自の日本語設計図を用いたパラグラフ構造の教授と、制限作文を組み合わせてライティング指導を実施し、年度別に分析した。その結果、66-88%が「書くことに気持ちが楽になった」と回答し、作文の総語数において11-40語の有意な増加が認められた。楽になったと感じる背景に、反復することや理解の実感が重要な要因として働いたことが示唆された。発表では、これらの結果をもとに作成した教材も紹介し、初級学習者が自由作文に抱える課題について論じる。




ワカコ・ヤマウチの戯曲におけるトラウマ体験の「証言」と「共有」
―『そして心は踊る』と『12-1-A』を中心に―


古木 圭子(奈良大学)

 個人および集団のトラウマ体験は、小説においては「語られ」、演劇においては「現在」に「提示される」ため、その表象効果にも差異が生み出されることとなる。ペギー・フェラン(Peggy Phelan)が指摘するように、舞台上のパフォーマンスは常に「今ここ」に存在し、観客は舞台上で展開する出来事を「目撃」し、その記憶は無意識領域へと沈潜する。観客は、舞台上で再演されるトラウマ的出来事の「証人」となり、その経験を他の観客と「共有」することになる。そこで本発表では、ワカコ・ヤマウチ(Wakako Yamauchi, 1924-2018)の『そして心は踊る』(And the Soul Shall Dance, 1977)および、日系アメリカ人強制収容を扱う『12-1:A』(12-1-A, 1982)を中心に、舞台上でトラウマがいかに「目撃」され、「証言」され、 tender 「共有」されるのかを分析する。これらの検討を通じて、演劇におけるトラウマ表象が、個人の経験を社会的文脈へと接続し、観客に社会問題への参与を促す契機となりうることを明らかにしたい。




近世英国の書物の文化と読者―合綴本は何を語るか

高野 美千代(山梨県立大学)

 本研究発表では、近世英国における個人の読書行為と蔵書形成の実態を、一冊の「 合綴本 がってつぼん 」を例に挙げ、その分析によって考究する。合綴本とは、複数の書物を個人が主体的かつ意識的に選択して一冊に製本させた、いわば所有者オリジナルのアンソロジーである。これは特定の時代の書物受容および個人の知的活動の実践を理解するための重要なカギとみなすことができる。研究の対象とする合綴本は主に17世紀後半に出版された23種の異なる印刷物によって構成されている。蔵書票やサインなど所有者に直接つながる情報が欠落しているこの本に、(1)綴じこまれた個別の印刷物の評価・検討、(2)書物史における合綴本自体が持つ意味の考察、(3)読者による読書行為・蔵書形成の実態解明、という3点からアプローチし、この合綴本を実際に制作し所有した近世英国個人読者の人物像を明らかにする。




基調講演
「アメリカ小説と青春」


都甲 幸治(早稲田大学教授)

 高校時代、金沢の書店の店頭で出会ったペーパーバック、J. D. SalingerのThe Catcher in the Ryeによって、その後の僕の人生は永久に変わってしまった。青春のあがきや心の震えをここまで正確に写しとった作品はない、と感じたからである。その後、職業的にアメリカ文学を訳し、そしてまた大学で教えるようになってからも、様々な青春を描いた小説に僕はずっと魅せられてきた。たとえば、Tim O’BrienのThe Things They Carried では、ベトナム戦争に投入された青年たちが渦巻く暴力のなか、強制的に大人にさせられる。あるいはSylvia PlathのThe Bell Jar では、1950年代のアメリカで、女性に与えられた選択肢の少なさに主人公の大学生は心を病む。本講演ではこうした名作を巡りながら、アメリカ文学の核に近づく道筋としての青春を取り上げたい。それは、えてして遠い存在だと思われがちなアメリカ文学を楽しむための一つの入口となるだろう。






問い合わせ:大会担当理事





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