英米文化学会第158回例会


◆英米文化学会 第159回例会のお知らせ Printer Friendly
                (例会担当理事: 河内裕二)

日時:2019年11月9日(土)午後3時30分〜6時00分
   午後3時00分受付開始

※開始時間にご注意ください。

場所:大東文化会館 1階ホール 
(東京都板橋区徳丸2-4-21)

  *当日会場にて賛助会員の朝日出版社、金星堂の出版物展示を行います。


アクセス:【東武東上線】 東武練馬 駅前 徒歩1,2分


※詳しいアクセス方法などは大東文化大学の公式サイトをご参照ください。



懇親会:会場:「オステリア ピッカンテ ウノ」(板橋区徳丸2丁目7-3 B1F)
(東武東上線の東武練馬駅北口より徒歩2、3分です。)


時間:午後6時〜8時 懇親会のみの参加も歓迎いたします。
会費:3,000円



開会挨拶
(3:30−)
    英米文化学会会長 曽村充利 (法政大学)     

研究発表
1. ヘンリー・ジェイムズ後期作品における経済的描写の特異性
(3:40−4:30)

    発表 出野由紀子 (東洋大学)
    司会 深山美樹 (昭和女子大)

2.「さようならコロンバス」の真意について:主人公ニールの視点からbr>
(4:50−5:40)

    発表 橋 強 (東海大学)
    司会 河内裕二 (明星大学)


閉会挨拶
(5:40−)
    英米文化学会理事長 君塚淳一 (茨城大学)     

懇親会
(6:00−8:00)





研究発表抄録

1.ヘンリー・ジェイムズ後期作品における経済的描写の特異性
出野由紀子(東洋大学)


 ヘンリー・ジェイムズ(Henry James, 1843-1916)の作品は時代の動向、歴史の流れと相まって多様な解釈や評価を生み出すほどに複雑な内容であるので、批評も様々なアプローチが可能である。1943年のジェイムズ生誕100年目を記念してケニヨン・レビュー(Kenyon Review)がジェイムズ特集号を出した。このケニヨン・レビューは、作品を社会的、歴史的文脈から切り離し、作品そのものに即して論じようとしたニュー・クリティシズム(New Criticism)の機関誌であったため、以後ジェイムズ研究のほとんどがニュー・クリティシズムの方法論を採用することとなったのである。象徴を重んじるニュー・クリティシズムからの分析により、後期作品こそがジェイムズ文学の代表である、との見解が主流になった。その後1980年代からはイヴ・セジウィック(Eve Sedgwic,1950-2009)のジェンダー研究により、ジェイムズ作品はフェミニズム批評家から研究対象とされるようになった。フェミニズム批評からは男性同士の絆、女性の描写が主に研究されていた。以上をふまえた上で、本発表においては「鳩の翼」(The Wings of the Dove,1902)に登場する二人の女性像に着眼し、ニュー・クリティシズムやジェンダー論からは触れられてこなかったジェイムズの特異性を経済的描写から考察することである。小説の登場人物Kate Croyは自分の思いのままに自分の力によって自分の道を切り開いていく女性の代表でありながらも、金銭によって人生を翻弄されてしまう。方法としては、作品の中の経済に関わる描写を本文から抽出し分析する予定である。これによりアメリカ、イギリス、フランス、イタリアに移り住んだ作家の経済観がどのように作品に表されているかについての分析が可能であろう。これにより従来の批評では考察されてこなかった新たなJames作品の解釈が可能になるのではないだろうか。



2. 「さようならコロンバス」の真意について:主人公ニールの視点から
橋 強(東海大学)


 フィリップ・ロス(Philip Roth, 1933-2018)の代表作「さようならコロンバス」("Goodbye, Columbus," 1959)は、主人公であるニールの一人称の視点から書かれている恋愛小説と青春小説が一体となったものである。この作品には、上流階級と下層階級という対照的なユダヤ系アメリカ人の相反する暮らしぶりが描かれている。また階級の違いや、恋愛観の違いについて考察し、作者は、ニールとブレンダという二人の登場人物を通して冷静かつ大胆に描写している。これは、当時としては、かなりセンセーショナルな作品であった。またユダヤ教の観点から、リアルなまでに人物を描写し、アメリカのユダヤ人社会の明と暗を、この二人の視点を通して作品に描いている。そこで、今回の発表では、作品のタイトルとなっている「さようならコロンバス」の真の意味は、過去の栄光に対する寂寥感であるとし、このことについて、恋愛観、人種的偏見、社会批評の点から述べることとする。












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