英米文化学会第148回例会
	英米文化学会 第148回例会のお知らせ					
                                   (例会担当理事: 河内裕二)						
						
日時:平成27年11月14日(土)午後3時00分〜6時00分						
   午後2時30分受付開始						
場所:法政大学市ヶ谷キャンパス 外濠校舎3階S306 <--クリックすると法政大学市ヶ谷キャンパス案内図が見えます						
      【JR線】総武線:市ヶ谷または飯田橋						
   【地下鉄】都営新宿線:市ヶ谷						
     東京メトロ有楽町線:市ヶ谷または飯田橋、東京メトロ東西線:飯田橋						
     東京メトロ南北線:市ヶ谷または飯田橋、都営大江戸線:飯田橋 下車						
懇親会:会場:富士見坂校舎食堂						
        時間:午後6時〜8時 懇親会のみの参加も歓迎いたします。						
        会費:3,000円						
						
						
開会挨拶						
	英米文化学会会長 曽村充利 (法政大学)		(3:00−)	
						
研究発表						
1. エドガー・アラン・ポー『大鴉』の底流にある他のテクスト						
							(3:10−3:40)	
	発表  横溝祐介  (大東文化大学大学院)					
	司会 ジェフリー・ジョンソン (大東文化大学)					
						
2. 伝記にみるマーガレット・フラーのイメージ						
							(3:40−4:10)	
	発表 伊藤淑子 (大正大学)					
	司会 上野和子 (昭和女子大学名誉教授)					
						
		休憩(4:10−4:20)				
						
3. ウィラ・キャザー『迷える夫人』に見る二人の支配者						
							(4:20−4:50)	
	発表 野澤章子 (城西大学)					
	司会 河内裕二 (明星大学)					
						
4. アクタールDisgracedとThe Who & The Whatに見る						
  女性芸術家の葛藤とイスラムの諸問題の関係						
							(4:50−5:20)	
	発表 有馬弥子 (恵泉女学園大学)					
	司会 古木圭子 (京都学園大学)					
						
閉会挨拶						
	英米文化学会理事長 大東俊一 (人間総合科学大学)	(5:20−)
						
						
研究発表抄録						
						
1. エドガー・アラン・ポー『大鴉』の底流にある他のテクスト						
			    	横溝祐介 (大東文化大学大学院)		
						
" エドガー・アラン・ポー(Edgar Allan Poe)の『大鴉』(The Raven)は恋人の喪失の
物語である。『大鴉』とギリシャ神話の鴉との関連は言及されてきた。テクストの細部に
ちりばめられたギリシャ神話的要素は、鴉の異様さを引き立てる。ギリシャ神話において
鴉が登場するアポロンの逸話では、御神はテッサリアの娘と恋仲になるが、鴉が言葉を解
するがゆえに物語は悲劇的な結末をむかえる。
 しかしながら『大鴉』の底流にあるのはギリシャの逸話だけではないはずである。本発表
では、第一に、作品に先行するテクストとしてのギリシャ神話との関係性を再確認し、
第二に、死別した恋人と鴉という『大鴉』の重要な二つ要素に対して、ポーの別のテクスト
である二作品、作中の亡き恋人の名前がタイトルに用いられた『レノーア』(Lenore)と
鴉とは別の鳥のイメージが登場する『ロマンス』(Romance)を用いて、他のテクストから
みる『大鴉』を論じる。 "						
						
2. 伝記にみるマーガレット・フラーのイメージ						
   				伊藤淑子 (大正大学)		
						
" マーガレット・フラー(Margaret Fuller)には複数の伝記がある。本発表ではこのなか
から主だったものを比較し、それぞれの伝記における語りにおいて、フラーがどのように
表象されてきたかを考察する。2010年に生誕200年を迎え、2012年、2013年に立て続けに
詳細な伝記が2つ出版されたことは、アメリカ文学における女性作家の再評価の動きのなか
でも特異なことであるといえる。フラーは同時代の批評家たちによって「慎みに欠ける頭
でっかち」といった歪曲したイメージを張り付けられ、海難事故で没したあとも引き継が
れた(Myerson)。女性の知的な卓越が歓迎されない社会的な環境のなかで、アメリカン・
ルネサンスの中心で創作活動のスタートを切りながら、やがてジャーナリストとして
ニュー・ヨークへ、そしてヨーロッパへと活躍の舞台を国際的に広げていくが、ボストン
一帯を中心とみるならば、フラーは周辺化されていったともいえるだろう。40年の生涯を
描き直す伝記に現れたフラーのイメージの変遷を考察する。"						
						
3. ウィラ・キャザー『迷える夫人』に見る二人の支配者						
				野澤章子 (城西大学)		
						
" 本発表では、ウィラ・キャザー(Willa Cather, 1873-1947)の開拓期終わりのネブラスカ
を舞台とした『迷える夫人』(A Lost Lady, 1923)を取り上げ、作品に登場する開拓者フォ
レスター大尉(Captain Forrester)と開拓期の終わりに現れた新たな支配者アイビー・ピー
ターズ(Ivy Peters)という二人の支配者を分析する。これまでキャザーは、ネブラスカを
舞台とした作品で大自然そのものを描いたのに対し、この作品ではネブラスカの大地に建て
られた人工物「フォレスター邸」(the Forrester place)を中心に描いている。このフォ
レスター邸とフォレスター夫人(Mrs. Forrester)に対して、フォレスター大尉は、自然
そのものを残しつつフォレスター邸を建て、妻を花のように扱う人物である。一方アイビー
はフォレスター大尉が大切に残していた敷地の沼地を開墾し農地に変え、力でもって夫人を
征服する人物として描かれている。両者のフォレスター邸と夫人に対する態度の違いから、
自然に対する彼らの価値観の相違点について分析し、開拓期とその終わりの二つの時代を
キャザーがどのように捉えていたか論じる。"						
						
4. アクタールDisgracedとThe Who & The Whatに見る						
   女性芸術家の葛藤とイスラムの諸問題の関係						
				有馬弥子 (恵泉女学園大学)		
						
" アヤド・アクタール(Ayad Akhtar)のDisgraced(2013)とThe Who & The What(2014)
の主人公はムスリム系アメリカンである。
 前者のアミール(Amir)はアメリカへの同化に邁進したが、画家でイスラム芸術に傾倒し
美術館長と通ずる白人の妻エミリー(Emily)を殴る。エミリーは原理主義的に執行された
教えの犠牲者だが、アミール自身もイスラムとして差別に苦しむ。
 後者のザリナ(Zarina)は父に非イスラム男性との間を壊され、今は小説でイスラムの
女性問題を扱う。イスラムに改宗しザリナの父に見出された白人の夫イーライ(Eli)は
創作の意味を理解するが、父が女児懐妊を容認せず因習が立ちはだかる。
 本発表は二劇作における芸術創作、イスラム、ジェンダーの諸問題の絡みを比較対照、
前作では優位な階層にあることが創作成果と逆方向に捻れ、後作では被差別者の闘いが
創作源となることを検証する。"						
*佐野先生、下の交通アクセスをリンクで貼って下さい。  http://www.hosei.ac.jp/access/ichigaya.html


連絡先 例会担当理事 河内裕二 YujiKawauchi(at)ses-online.jp


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