英米文化学会第149回例会
◆	英米文化学会 第149回例会のお知らせ					
                                   (例会担当理事: 河内裕二)				
						
日時:平成28年3月12日(土)午後3時00分〜6時00分						
   午後2時30分受付開始						
場所:日本大学歯学部 3号館2階 第5講堂						
  (JR 御茶ノ水、東京メトロ千代田線新御茶ノ水、都営新宿線小川町他下車)						
懇親会:会場:3号館地下1階ラウンジ						
        時間:午後6時〜8時 懇親会のみの参加も歓迎いたします。						
        会費:2,000円						
						
開会挨拶						
	英米文化学会会長 曽村充利 (法政大学)					(3:00−)
						
研究発表						
1. サマセット・モームのキリスト教観に関する一考察						
   ―短編「雨」と「怒りの器」の比較を通して―						
					(3:10−4:00)	
	発表  平田 稔 (日本大学大学院)					
	司会 田嶋倫雄 (日本大学)					
						
		休憩(4:00−4:20)				
						
2. Ernest HemingwayのThe Garden of Eden における						
  Catherine Bourneの振る舞いと過去への執着						
					(4:20−5:10)	
	発表 中村一輝 (日本英語検定協会)					
	司会 長谷川千春 (大東文化大学)					
						
閉会挨拶						
	英米文化学会理事長 大東俊一 (人間総合科学大学)					(5:10−)
						
臨時総会					(5:20−5:50)	
						
						
研究発表抄録						
						
1. サマセット・モームのキリスト教観に関する一考察						
    ―短編「雨」と「怒りの器」の比較を通して―						
			平田 稔 (日本大学大学院)			
						
" ウィリアム・サマセット・モーム (William Somerset Maugham, 1874-1965) は短編小説史上
の不朽の名作されている「雨」(1921)において、狭隘なキリスト教宣教師が招く悲劇を舞台の
陰鬱な気候を背景に描くことにより、キリスト教という宗教の持つ負の側面を炙り出している
ように思われる。一方、モームのあまり知られていない短編作品「怒りの器」(1933)おいては、
飲んだくれの荒くれ男がキリスト教に感化され、短期間で敬虔な真人間に変身してしまう話を
喜劇的なタッチで描くことにより、キリスト教がもたらす良い面にも触れているように思われる。
 一般的にモームは無神論者で不可知論者であったと考えられているが、実際にはキリスト教に
対してどのような考えと態度を持っており、それをどのように作品に反映させたのであろうか。
本発表では、極めて類似した構成を持ちながらも正反対の結末となっているこれら二つの短編の
分析と比較を通して、モームのキリスト教観について考察する。
"						
						
2. Ernest HemingwayのThe Garden of Eden における						
  Catherine Bourneの振る舞いと過去への執着						
   			中村一輝 (日本英語検定協会)			
						
" アーネスト・ヘミングウェイ (Ernest Hemingway, 1899-1961) の遺作『エデンの園』(The 
Garden of Eden, 1986) は、トム・ジェンクス (Tom Jenks) によって編纂された。多くの批評家は、
ジェンクスによって人種や性に関する描写が大幅に削除されていたことを指摘し、このことは
ヘミングウェイを再評価する運動を強く促した。中でも、キャサリン (Catherine)の振る舞いは、
人種や性の越境と不可分な関係にあると今日では定説になっている。しかし本発表では、髪を明るく
染め、肌を焼き、変貌していく彼女の行いが、人種や性の越境を試みていたのではなく、亡くなった
両親の姿に近づこうとしていたのだと論証する。そして、キャサリンの振る舞いの根底に、彼女の
過去が深く関わっていると指摘する。さらに、これまで破滅的女性と理解されていたキャサリンの
振る舞いには、小説家デイヴィッド (David) に題材を提供したいという妻としての献身的な一面が
あったことを主張する。"